株入門│株を始める前に知っておくべき株式投資の基本知識

日常生活の中で何かとよく話題にされる「株」ですが、皆さんはどれだけこの「株」について理解しているでしょうか?もちろん投資手段の一つとして積極的に「株」に関わっている方も多いと思いますが、「普段からよく耳にするけど実際のところは、、、」と、きちんと理解できていないという方も案外少なくないようです。

本記事では、今更聞けない「株とは何か?」といった基本的なことから、初心者による投資手段としての株の選び方(考え方)に至るまで、株にまつわる入門的な内容を解説したいと思います。

1.株とは何か?

1-1 株の仕組み

「株」とは、会社が事業活動を行うための資金を調達する手段として考えられた仕組みの一つです。企業にお金を出してくれた出資者に対し、その金額に応じて会社の所有権(経営権)を分配しますが、その小分けされた権利を表したものを「株」または「株券」といいます。

この「株」を発行する会社のことを「株式会社」といいますが、会社は資金を調達するためにこの「株」を販売し、一方、「株主」はこの「株」を購入することで会社に出資することになります。

なお、株主がその企業の発行する株をどのくらい保有しているかは、株数(○○株)や保有割合(○%)などで表現されますが、保有数に応じて企業の利益配分や会社の経営決定権に対する影響力が変わってきます。例えば、A社の株式を100%保有している株主がいたとすると、A社は完全にその株主に支配されているということになります。

なお、余談ですが、よく「株」や「株券」と、「株式」では何が違うのか、という質問を受けることがあります。これは基本的には同じものなのですが、敢えて違いを述べるなら、

・「株」「株券」は上述のとおり、会社に対する権利(所有権)を表した「有価証券」である一方、

・「株式」はこの「株」を活用した企業の資金調達~事業活動の仕組みそのもの

と、言えるかもしれません。

1-2 株の値段(株価)の決まり方

「株」を保有すること=会社を保有すること、であることは分かりました。それではこの「株」の価格はどのように決まるのでしょうか?

 一般的に株は証券取引所において取引されますが、この株の価格は他の商品と同様に、需給のバランスによって変動します。すなわち、株を「買いたい人」と「売りたい人」のバランスによって、株価は形成されることになります。例えば、業績の良い会社の株には「買いたい人」が集まり、買いたい注文(買注文)が増えることから、株価は上昇します。同様に、業績が悪い会社の場合では、「売りたい」注文(売注文)が増えることで、株価が下落するという仕組みです。この「買いたい」注文と「売りたい」注文の価格の均衡点がその株の取引価格ということになります。言い換えれば、「オークション」方式(セリ形式)で行われるといっても良いかもしれません。

それでは具体的に見ていきましょう。下の表は、ある会社(A社)の株を「買いたい人」と「売りたい人」の注文が証券取引所で集約された表となります。(この集計表を証券用語では「板」と呼びます。)

(例:A社の売買注文集計表=「板」)

売気配株数
(売注文数)
気配値
(価格)

買気配株数
(買注文数)

4000 1030
2000 1020
500 1010
3000 1000
990 300
980 500
970 2500
960 3000

例えば、現在のA社の株価が1000円だとします。この表では、現在の株価(1000円)を中心に、今この株を990円で買いたい人の注文が300株分、980円で買いたい人の注文が500株分あることを意味しています。

一方、売りたい人からは1000円の売りたいという注文が3000株分入っているということが分かります。

従って、現在の株価近辺では、売りたい人の株数の方が買いたい人よりも多いことになり、このケースではA社株の値段は下がっていくことになります。

株価は売り手と買い手の思惑が一致しないと売買成立とならない為、この株を1000円以上で売りたい人達は、妥協して900円台にまで売値を下げなければ、株を売ることは出来ません。

逆に、買いたい人が多い場合は、株価はどんどん上昇していきます。これが、株の需給バランスによって株価が決まる基本的な仕組みです。

※証券取引所
株式や債券の売買取引を行うための仕組みを提供する施設のこと。自ら開設する市場に株式等の売買注文を集約させることによって、株式等の市場流通性を確保させる重要な役割を担っている。日本には、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、およびジャスダックと6つの取引所があるが、なかでも東京証券取引所での取引(売買高)は、全体の9割以上を占めている。なお、この証券取引所で売買が出来るのは取引所会員である証券会社に限られ、一般の者が株取引を行う場合は原則として証券会社によって仲介してもらう必要がある。

1-3 株式投資の魅力とは 

なぜ人は株を保有(会社に出資=投資)するのでしょう?もちろん株は投資目的で保有されることが殆どですが、株式投資には主に3つの魅力があるとされています。

  1.  保有株の「値上がり益」を狙うことが可能
  2. 「配当金」を受け取ることが出来る
  3. 「株主優待」を受けることが出来る

それでは一つずつ見ていきましょう。

(1)  保有株の「値上がり益」を狙うことが可能(キャピタルゲイン)

株価が上昇した時に保有株を売却することでその売却価格と購入したときの価格(取得価格)の差益を得ることが可能となります。(この差益のことをキャピタルゲインといいます。)

株価の決まり方については上で説明したとおりですが、基本的に企業の人気が高くなれば株価は上昇します。この株価の変動を利用して売買益を得ることは株の最大の魅力の一つと言っても過言ではないでしょう。

具体例で説明します。

・      2016年12月24日 株価1000円で100株を購入

(取得価格1000円×100株=100,000円)①

<半年後の株価:1200円に上昇>

・      2017年6月24日 株価1200円になったため100株をすべて売却

(売却価格1200円×100株=120,000円)②

従って、このケースでは①と②の差額である2万円が利益(キャピタルゲイン)となります

※実際の取引においては税金、手数料等が発生します

(2)  「配当金」を受け取ることが出来る(インカムゲイン)

配当金とは、企業の営業活動によって産出された利益の一部が株主に還元されたものをいいます。(この配当金のことを、一般的に株のインカムゲインと呼びます。)

なお、配当金は決算期ごとの企業業績に応じて増減しますが、そもそも配当金の有無、金額、支払いのタイミングなどは基本的に各企業独自の考え方によるため、仮に同業種(業態)の企業であってもここは各社バラツキがあるのが通常です。

(3) 「株主優待」を受け取ることが出来る

株主優待とは、企業が株主に対し、その保有株数に応じて自社製品やサービス券などを無償で提供することをいいます。例えば、テーマパークを運営する会社であればその入場券、鉄道会社であればその会社の路線で使用できる回数券などを株主に提供するといった具合です。

なお、この株主優待制度を採用している企業は、こういった無償のサービスを自社の株主を対象に提供することで、企業(ブランド)もしくは自社製品の固定ファンを創り、株を出来るだけ長く安定的に保有してもらうことを期待してこれを積極的に活用しています。

以上、株式投資の主な魅力について説明しましたが、実際に株で投資をはじめるにあたっては、購入を検討している株に対し、ご自身がどのような魅力を感じているのかをあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。これは後々のご自身の投資スタイルにも影響を及ぼすことになります。

1-4 株式投資のリスクとは

 株式投資には前述のとおりいくつもの魅力がある一方、預貯金とは違い元本保証の商品ではありません。株式投資の最大のリスクとは、企業の業績や経済環境の変化に伴い株価が購入した価格よりも値下がりし、結果として損を出してしまうことにあります。(これを「キャピタルロス」といいます)

なお、株を保有するにあたって、この値下がりリスクを完全にはなくすことは出来ませんが、これをなるべく低く抑える方法もあり、その代表的なものが「分散投資」という手法です。

(参考)分散投資とは?

2.株の値段が変動する理由(ワケ)

 株の値段(株価)が需給バランスによって変動することは株式投資における魅力でもありリスクでもあることはお分かり頂けたと思いますが、そもそもその需給バランスを変化させる要因(株の値段が変動する本当の原因)は何でしょうか?以下主なものをいくつか紹介します。

2-1 特定企業の業績による影響

株価に最も影響を与えるのがこの企業業績です。特に過去の業績よりも将来(今後)の見通しが株価を左右する重要なポイントです。この企業業績とは、もちろん会社が公表する決算内容(経営状態)やその見通しもさることながら、それらに影響を与えそうな関連ニュースやイベント等も実際の株価に影響します。

例えば、ある製造会社が販売している、もしくは重要な部品等を提供している製品が突如ブームになってきたとか、製薬会社で新しい研究成果が発表された、といったニュースは、すぐに足元の企業業績に反映するものではないにせよ、将来の見通しが良くなる好材料として考えられます。このようなニュースが出ると、該当企業の人気は高まり、株価も上昇しやすくなります。

逆に、企業の不祥事などがニュースになった場合は、それ自体が直接業績に影響を与えない場合であっても、このニュースが将来この企業に間接的に与える影響等を悪材料として捉えられ、株価は下落しやすくなります。

2-2 政治経済の動き

 国内外の景気の動き、金利や為替の動向なども株価に大きく影響を与える原因として挙げられます。これは特定企業の株価変動というよりも寧ろ特定業態や株式市場全体への影響という形で現れることが多いかもしれません。

 例えば、好景気には一般的に企業業績が良くなるため株価は上がり、不景気になれば逆の動きとなります。また為替では、円高になれば輸入企業にメリットが、円安になれば輸出企業にメリットがありますので、それぞれの局面で株価に影響を与えます。そのほか金利が上がると一般的には株価は下落し、金利が下がると株価は上昇するとも言われています。ご存知のとおり、金利や為替の動向はあらゆる政治的な要因で上下します。

このように、世の中の政治・経済の動向はあらゆる形で直接、間接的に株価に影響を与える要因になります。「株を勉強することは、世の中の動きを勉強すること」だと言っても過言ではないでしょう。

2-3 その他

税制や投資規制、天候や地震などの自然環境の変化、その他テロや戦争などの外部環境要因も株価に影響を与える大きな要因となります。これらは企業の業績等に直接影響を与える場合もあれば、金利や為替の動向に影響を与えることで間接的に企業の株価に反映される場合もあります。

以上のことから、世の中のあらゆる事象は何かしら株式市場に影響を及ぼしているということがお分かり頂けたのではないでしょうか。一見関係のないように思えることも実は株の好材料であったり悪材料であったりすることから、普段から「この事象はどこにどのような影響を及ぼしそうか?」といった観点で新聞、テレビ、雑誌などを見ると案外新しい発見があるかもしれません。

3.初心者のための株の選び方

ここまで「株」とは何か、そして株価は一般的に何に影響されどのように決まっていくのか、ということを解説してきました。では、株の初心者が実際に株式投資を行う場合、どのように購入する株を選ぶべきでしょうか。ここでは、個別具体的な銘柄の選別方法ではなく、株の売買を行うにあたって一般的に参考にされている指標の説明と、株選びにおける考え方について説明します。

3-1 株取引で参考にすべき基本「指標」とは何か

株の取引で参考にすべき指標はいくつかありますが、大きくは「市場全体の指標」と「個別銘柄における指標」とに分けられます。あくまでも参考指標ではありますが、ここでは基本的なものを抑えておきましょう。

株式市場全体の指標

 株式市場全体の流れを読み取るための代表的な指標は次のとおりです。いずれの指標も高ければ高いほど株式市場が好調であることを意味します。前日比や前月比などで指標がどの程度上昇しているか(市場は活況か?)、下落しているか(市場に少し陰りがあるか?)、ということで大まかな市場全体の流れを把握することが出来ます。

(1) 日経平均株価

日本の代表企業である225銘柄の平均株価のことをいいます。この225銘柄は、トヨタや東電など、日本を代表するような株で構成されていますが、総じて株価が高い銘柄(これを値がさ株といいます。)で構成されている指標であることから、ときに指標自体が特定銘柄の動きに影響を受ける場合もあります。

(2) TOPIX

「東証株価指数」の略称ですが、これは東証1部上場の全銘柄の時価総額の合計を全銘柄で割って算出したものです。株価が上がると会社の時価総額もあがるため、TOPIX自体も上昇することになります。なお、この指標は、時価総額の高い銘柄(規模が大きい会社)の影響を受けやすいという性質があります。

※時価総額
時価総額とは、その時点における企業の価値(会社を買った場合の値段)を意味し、「株価×発行済株式数」によって算出される。株価に連動することから、市場の評価による企業価値と考えられ、個別銘柄の指標として使われることもある。企業が保有する資産、利益力、成長力などが総合的に評価されている指標とも言える。

個別株式の指標

次に掲げる3つの指標は、個別企業の株の状態をチェックするために使う基本的なものです。この指標を見ることで、株価が実際の企業価値と比べて割高なのか割安なのか、あるいは、その株でどの位の利益が期待できそうか、といったことを知ることが出来ます。なお、これらの指標を使って個別銘柄を見るときは、複数の銘柄を比較して指標の高低を判断することになります。

(1)  PER(倍)

「株価収益率」(Price Earnings Ratioの略)といいます。現在の株価が、「1株当たりの当期予想利益」の何倍になっているかを表したもので、会社の収益力を判断する指標です。なお、この数字が大きければその株は割高、小さければ割安ということを意味します。これを式で表すと、

「株価収益率」(PER)=(現在の株価)÷(1株あたりの当期予想利益) となります。

 

具体的に説明しましょう。

例えば、似たような業種のA社とB社があったとします。A社の株価は1000円、B社の株価は600円です。このような状況で、どちらの株が割安でしょうか。

なお、ここでは1株あたりの当期予想利益(EPS)は、それぞれ、A社が200円、B社が100円とします。

以上より、

A社のPER=株価(1000円)÷200円=5倍

B社のPER=株価(600円)÷100円=6倍

 

実際の株価だけで比較すると、1000円の株価のA社の方が600円のB社に対して割高に見えてしまいます。しかしながら、PERを指標として比較した場合、実際の株価にも拘わらず、A社の株の方が割安である(よりオトクな値段になっている)、ということが分かるのです。

※1株あたり当期(予想)利益
1株あたり当期予想利益とは、EPS(Earnings Per Share)とも言われ、会社の「純利益」を[発行済株式数で割った数字です。(当期利益÷発行済株式数)

(2)  PBR(倍)

「株価純資産倍率」(Price Book-value Ratioの略)といいます。現在の株価が1株当たりの純資産の何倍になっているかを表したもので、会社の資産内容や財務体質を判断するための指標です。この数字が大きければその株は割高、小さければ割安ということを意味します。

こちらも例を使って説明します。

例えば、純資産10億円、発行済株式数100万株の会社の場合、1株当たりの純資産は1,000円となります(10億円÷100万株)。この時、株価が1,200円なら、PBRは1.2倍(1,200÷1,000)であるということになります。

もし今仮にこの会社の株価が1,000円だったらどうなるでしょう?この場合は、PBR=1倍となり、現在の株価は1株あたりの会社の純資産と等しいことになります。従って、1株あたりの投資金額と解散価値が同じ(=投資金額のリスクが低い)、ということです。逆にいうと、PBRが1を下回ることはそれほど多くないこともお分りでしょう。

(3)  配当利回り(%)

こちらは上の指標に比べてもっと単純です。一般的に利回りといえば、投資金額に対する収益割合のことを言いますが、「配当利回り」とは、投資金額、つまり投資時点の株価に対する配当金の割合をいいます。株価は毎日変動するため、配当利回りは株をいつ買ったかによって変わります。

なお、「配当利回り」を算出するにあたっては、前期に支払われた実績配当金を用いる場合と、今期の予想配当金を用いる場合がありますが、これを式で表すと、

「配当利回り」=(一株あたり)配当金÷株価 (但し、手数料や税金は考慮しない)となります。

(例えば、株価が1,000円の場合に配当が10円だとすると、配当利回りは1%です。)

3-2 入門者におすすめ!後悔しない株の選び方

ここまで株取引で参考にすべき指標について解説をしてきましたが、これらはあくまでも筆者が最低限知識として知っておいた方が良いと考える基本中の基本を簡単にご紹介したものです。一方、株の入門者が、これらの指標を使ったとしても、あまりにも多すぎる株の中から実際に購入すべき銘柄を選ぶのは大変難しいことでしょう。

ここでは、投資歴数十年の筆者の実経験を踏まえた株選び(入門編)の考え方についてお伝えしたいと思います。

株は結局人気投票!

株は昔から様々な理論や法則で語られ、多くの指標分析や財務分析、計算式等に基づいて取引されています。しかしながら、実際には真の企業価値、理論値等とはかけ離れた価格で取引されるケースも決して珍しくありません。これは、結局のところ、株が「実際の価値ではなく、人々の思惑で価格が決まる商品である」ということです。

資本主義の産みの親でもあるイギリスの経済学者、ケインズも「株は美人コンテストである」と言っています。ただこの場合、ちょっと特殊な美人コンテストであると言えそうです。なぜなら、コンテストの優勝者に投票した人が賞金をもらえるという仕組みだからです。そうなると、投票者は、自分が美人だと思う人には投票せず、皆が美人と思いそうな人に投票することになります。これがまさに株の真実なのではないかと思います。ただそんな仕組みの中でも、人々の思惑はそれぞれ異なることから、株の取引は成立するのでしょう。

自分に身近な銘柄を選ぶ

入門者でも買いやすい銘柄とは何かを考えるとき、筆者自身が銘柄を選ぶにあたって昔からずっと変わらずに使い続けている方法が一つだけあります。それは、「自分に身近な銘柄(会社)から選んでみる」というやり方です。

身近なところから、まずはご自身が勤務する会社の業態(業種)、良く行くお店、気になっている又は長く愛用しているブランドや商品、サービスなどについて考えてみましょう。そして、そこから次にそれらに関連する会社(銘柄)を調べていくのです。

この方法では、ご自身の実体験を株購入の判断材料にできるだけでなく、そもそも身近な企業を選んでいることから、その後の継続フォローもしやすいというメリットがあります。これにより、株を購入するときのみならず、その後売却のタイミングについても自信をもって判断できる可能性が高くなるのです。

長期保有を前提に購入する

株式投資での最大の魅力の一つとしてご紹介した「値上がり益(キャピタルゲイン)」ですが、実はこれをあまり意識しすぎると、初心者の場合は特に短期売買に走りがちとなります。

筆者も経験はありますが、株を始めたばかりの頃は、購入した株の値動きばかり気になって、ちょっとでも上げ下げしただけですぐに売買を繰り返したくなるものです。しかし、こういう短期取引になると、やがて株以外のことが手につかなくなり、自分自身を見失い、やがては失敗に繋がってしまいます。

従って、特に最初のうちは出来る限り短期的な動きに惑わされず、長期的な視野で取引が出来るような銘柄を選ぶことをお勧めします。具体的には、日々値段の変動が激しい株や、普段全く動きがないのに急に取引量が増えたような株は避けることです。

3-3 初心者にあるある、株選びでの過ちとは

ここでは反対に、実際に株(銘柄)を選ぶにあたって入門者が陥りやすいワナについてご紹介したいと思います。

指標や分析に頼り過ぎる

株取引で参考にすべき基本的な「指標」については上で紹介したとおりですが、株を購入するにあたってこれらの指標や会社の一時的な業績などに頼り過ぎるのは禁物です。確かに指標等は株を数値化して比較するのには大変便利なのですが、その数値自体が瞬間風速的なものであるという可能性もあります。たまたま企業の業績が今期だけ良かっただけでも、特定の指標は良くなりますので、この点は十分に留意してください。

有名なアナリストや雑誌の記事を信用しすぎる

巷には株に関する情報が氾濫しています。特に最近はネットで検索するだけで株の推奨銘柄や著名なアナリストの有り難いご意見などなど、あらゆる情報が簡単に閲覧できるようになっています。ご自身でどの株を購入すべきか全く検討がつかない株の入門者にとっては、それこそ有名かつ人気があると言われているアナリストや金融機関の自称専門家たちが買うべき銘柄を教えてくれるわけですから、願ったりかなったりと思うかもしれません。

でもちょっと待ってください。私も日本ではそれなりに著名な金融機関に20年超在籍しておりましたが、社内には所謂「著名」なアナリスト達がたくさんおりました。で、彼らは彼らなりの独自の理論で毎回株の予測をするわけです。すると、全員が百発百中で株価は予想どおり!全員で利益を出してメデタシ、メデタシ、という光景は一度たりとも見たことも聞いたこともありません。あくまで予測が当たったか、外れたかは結果でしかなく、当たり前ですが彼らはその予測の結果がどうであっても社内で責任を負う必要さえないのです。

一方、ご自身で何も判断せず彼らの意見だけで株を購入して損をしてしまったらどうでしょう?皆さんはその結果に納得できますでしょうか?損したことを他人のせいにしたくなりませんか?このような事態を避けるためにも、いくら著名な方の意見であったとしても、もしご自身が株を購入する場合はあくまでそれは参考として捉えて頂ければと思います。

筆者がお勧めする、入門者向け銘柄選びのステップ(まとめ)

以上、初心者による株選びについて私自身の考え方も含めてお伝えして参りましたが、これらを簡単にステップでまとめると次のとおりです。是非参考にしていただければと思います。

① 自分に身近な企業を見つける

→ 自身の仕事や日々の生活から、身近で情報を得やすい企業をいくつか選定する

② 会社の概要を掴む

→ 個別指標などで企業の展望や株価の割安感、配当利回り等についてチェックする

  (急激な株価変動はないか、株の売買高が急増していないか等、個別銘柄の動きを確認)

③ 株式市場の方向性を確認する

→ 市場は安定しているか、マクロ的な流れはどうなっているか

(「個別銘柄の動き」に併せて「市場全体の動き」も確認)

4.株の買い方、売り方のルール

ここでは、実際に株を売買するにあたっての基本ルールについて説明します。まずは基本的な株の売買で知識と経験を積みながら、少しずつご自身のスタイルを確立していくと良いでしょう。

4-1 株の注文方法

まず株を売買するためは、証券会社で株取引専用の口座開設をする必要があります。銀行で預金口座を開設するのと同じようなものです。今はオンラインで簡単に口座開設も出来るのでこれ自体それほどハードルは高くありません。

さて、口座を開設したらいよいよ株の取引開始です。但し、ここで知っておくべきことがあります。株の売買をする際は、証券会社に対して「売り」か「買い」の注文を出す必要がありますが、この注文方法に2種類の基本ルールがあるのです。「指値注文(さしねちゅうもん)」と「成行注文(なりゆきちゅうもん)」です。この注文方法を使い分けることが株の売買では大変重要になりますので、以下もう少し詳しく説明します。

(1)  指値注文

「指値注文」とは、株の「買いたい」又は「売りたい」値段をピンポイントで指定して注文する方法です。例えば「1000円の指値(指定価格)で1,000株の買い」とか「500円の指値で2,000株の売り」といった注文を出します。

「指値注文」のメリットとしては、買い注文であれば指値以下の株価売り注文であれば指値以上の株価にならなければ絶対に注文が成立しないという点にあります。

例えば、1000円の指値での買い注文は、株価が1000円以下にならなければ取引は成立しませんし、一方、500円の指値による売り注文では株価が500円以上にならないと取引成立となりません。

心に決めた価格以上でないと売りたくない、又はこの価格以下でないと買うつもりがない、といった場合にはこの「指値注文」が有効です。

(2)  成行注文

「成行注文」とは、株の値段の指定をせずに「買いたい」又は「売りたい」株の数量だけを指定して注文する方法です。

「成行注文」による場合、買い注文であればその時点での最も低い価格の売り注文に対応し、同じく売り注文であれば、その時点で最も価格が高い買い注文に対応して、それぞれ即座に取引が成立します。

例えば、現時点での株価が1000円で、証券取引所に届いている最も低い価格での売り注文が1010円、最も高い価格での買い注文が990円だとしましょう。このタイミングで、成行で買い注文を出すと1010円で、売注文を出すと990円で取引が成立するということです。

株の売買値段ではなく、とにかく早めに取引を成立させたい(買いたい、売りたい)ということを重視する場合、この成行注文は非常に有効です。

4-2 売買のタイミング(売りは買いより難しい)

一般的に、『株は「買う」よりも「売る」方が難しい』と言われています。これは筆者も本当にそのとおりだと思います。買った株が少しでも上がるとすぐに売りたい気持ちと、一方でまだまだ上がるかもしれない、といった気持ちが交錯し、なかなかどのタイミングで売却してよいか判断が出来なくなってしまうものです。恐らくこれはどんなに経験を積んだ人でも同じだと思いますが、では株はいつ買って、いつ売ればよいのでしょうか?

結論から言うと、残念ながら正解はありません。同じ株に対してもその価格が高いと感じるか低いと感じるかは千差万別です。だからこそ市場では株の売買取引が成立するのです。従って、皆さんのような株初心者の方は特に、売買を行う前に自分のルールを決めて取引を始めるのが良いかもしれません。このルールは経験を積むに従って変わっていくと思いますが、それは問題ありません。大事なのは、その場の感情に流された判断?をしないことなのです。

一般的によく言われているのは、ある株を購入しようとするときは、購入する前からあらかじめ「この取引で期待する利益」と「許容できる損失」をルールとして決めておくと良いということです。言い換えれば、買った株の値段がここまで上がった時、もしくは下がった時は何も考えずに売る、という自分ルールです。

最初のうちは、「買った価格から10%値上がり、又は5%値下がりしたら売却する」、といった大雑把な決め方で良いでしょう。

5.まとめ

以上、今回は株の入門者にとって最低限必要と思われる基礎知識について筆者の経験則も交え解説させて頂きました。現在、株(株式取引)についてはあまりに多くの方が関心を持っていることから、巷では関連情報が氾濫している状況です。今後皆さんも株については色々と知識や経験を積んでいかれると思いますが、情報は活用しても振り回されないように、常に入門時における基本を忘れないよう心がけてください。